2019.05.11

白、黄、赤

 あすは「母の日」。母の日といえば、赤いカーネーションをまずいちばんに連想する人は多いと思う。
 春は梅の白い花や淡いピンクにはじまり、そしてタンポポなどの黄色へと季節の移り変わりとともに色も変わる。そして、この5月。サツキやツツジなどは赤く、色彩は豊かに品種の数も賑わいを見せる季節になる。その中でも母の日にはカーネーションが街の花屋の店頭を飾り、赤の印象が強くなる。
 


 

 まるで色彩のグラデーションのようにうつろう花々の色だが、そういえば早春の頃には、黄色い花が多いなと感じたことはないだろうか。はっきりした統計があるわけではないらしいが、確かに黄色が多いと感じるのはとても不思議だ。
 

 ある説では、受粉を必要とする植物が、花粉を運んでもらう昆虫を引き寄せるためだという。
 昆虫の目には赤などの波長の長い光は捉えづらく、見つけてもらうために波長の短い黄色が都合がいいらしい。ただ理由はそれだけではなく、風景に色の乏しい冬から春になり花が咲き始めると、人の目にもいちばん目にとまりやすい黄色が記憶に残るのだという。
 

 さて、赤く賑やかになった花屋の店頭で、染色されたカーネーションと地の赤とを見分けられるだろうか。
 

文・写真:西東十一
 
 


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