2016.12.24

一杯で二度

「コーヒーと紅茶、どちらにしますか」と訊かれたら、コーヒーと答える。飲む時は、砂糖とミルクをほんのわずかずつ使う、そんな飲み方を長くしてきた。それがここ最近、やはりブラックで何も入れないほうが美味いだろうとその回数が増え、今ではミルクを使うことはない。何がきっかけだったのか、きっかけなどなかったのか。

 
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 コーヒーというものは、そもそも苦いものである。淹れたての薫りや舌にまとわりつく苦みや酸味を味わうのが本来の楽しみ方なのだと思う。ただ、そのまま飲めば、当然のことながら甘みがない。甘くないほうが砂糖のベタベタした感じが残らなくていいのだけど、苦いままだと、人の味覚というのはずいぶんと我が儘なもので・・、いやいや私だけのことなのかもしれないが、それを打ち消す甘みがどうしても欲しくなる。

 

 そこでやっているのは、砂糖を入れてもスプーンでかき混ぜない、というやり方で飲んでいる。軽く一杯砂糖を入れて、ただしかき混ぜない。そのまま飲んで最後の一口二口になったときに、ほっとするような甘さが苦みを和らげてくれるという寸法だ。

 

 使う砂糖は白いグラニュー糖でもいいけれど、溶けてしまいやすいから粒の大きいコーヒー用シュガーが一番いい感じだ。残りあと少しで軽くカップを回すと、底に溜まっていた砂糖がうまい具合に溶けてくれる。コーヒーショップで、たまに甘いクッキーやチョコが添えてある、あれと同じ役なのかもしれない。

 

 そんなコーヒーの飲み方が、いまの自分のはやりでお気に入りだ。

 

 そうそう。砂糖を溶かすためにカップを揺らす時、ふち広がりのカップだと外にこぼれやすいようだ。それで家で飲むときには、ホームセンターで見つけたリンゴ型という丸みのある、上の写真のこのカップがいい具合で、お手頃価格の物なのだけれどとても重宝している。

 
文・写真:西東十一
 
 


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