2014.09.17

ギョギョギョ! 何気ない日常のひとコマを、空気感ごと切り取る[前編]

石黒美穂子さん/フォトグラファー

 

 近ごろ、魚眼レンズで自撮りした通称“ギョギョギョ”ショットが話題を集めているフォトグラファーの石黒美穂子さん。
 現在、女性誌をはじめ、さまざまな媒体で活躍している石黒さんだが、一般的な撮影ではほとんどの場合、魚眼レンズが使われることはない。なぜ、魚眼レンズで撮影をするようになったのだろう?

 

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「“ギョギョギョ”シリーズは2013年から撮り始めました。実は、魚眼レンズで自撮りをする面白さを教えてくださったのは、日ごろからお世話になっている先輩フォトグラファーの三浦憲治さんなんです。たまたま、三浦さんの個展に伺ったときに、「こうやれば自分のことも撮れるよ」って実際に魚眼レンズでご自分のことを撮られていて。
 その夏にちょうど、編集さんやライターさんが立ち会わずに、ひとりで岩手の幼稚園を取材する、というお仕事をいただいていたんですね。岩手が舞台で大ブームにもなっていたドラマ『あまちゃん』も大好きだったし、せっかくだから色々な場所へ行ってみたい…。ひとりだとなかなか自分の写真は撮れないけれど、三浦さんに教わったことで、そうか、魚眼レンズで撮ればいいんだ!と気づいたんです」

 

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 2泊3日の岩手滞在中、籠を編むワークショップに参加したり、断崖絶壁に佇む神社、久慈の琥珀美術館など、あちこちを訪れては“ギョギョギョ”!
 180℃を広角で切り取る魚眼レンズは独特の歪曲感や、躍動感のある画像が魅力だが、あえて自分に向けるというユニークな発想に加えて、その場の空気感までも切り取ったかのような写真に自身もハマり、今や魚眼レンズは、常に鞄の中に偲ばせておくほど欠かせない存在だ。
 アパレルブランドの展示会をはじめ、ギャラリーや雑貨ショップなど、さまざまな場所に足を運んでは“ギョギョ”り、自身のブログやFacebookページにアップ。その場に居合わせた親しい友人を集めて撮ってみたり、ときには展示会で見つけたユニークな衣装を身にまとっていたり…単なる記念写真や集合写真とはひと味違う、思わず笑みがこぼれるようなカットは次第に評判になる。
 ちなみに、“ギョギョギョ”とは、ドラマ『あまちゃん』の中で使われ、流行語にもなった三陸地方の方言「じぇじぇじぇ!」をもじったものだ。

 

楽しい!と思うと撮りたくなります。“ギョギョギョ”は語呂もいいし、覚えやすいみたいですね。最近は、初めてお会いする方から「すみません、ギョギョギョの方ですか?」と声をかけられることも増えました。友達には、「石黒じゃなくて“ギョギョ黒”って名乗った方がいいね」なんて言われているんですよ(笑)」

 

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 また、石黒さん自身も意外だったのが、ギョギョってほしいという理由から、展示会やオープニングパーティーなどさまざまな場に招待されるようになったこと。
「ご招待いただいた場所で知り合った方と仲良くなったり、そのまたお友達と仲良くなり、お仕事に繋がる機会もあったり……。出会いが一気に広がりましたね。(一般的なレンズよりも)魚眼レンズで撮る写真には人との距離が縮まりやすい効果があると思いますが、Facebookとの相乗効果も大きいですね。例えばブログだけだったら、ここまで広まっていなかったかもしれません」

 

 人と知り合うチャンスが増えることは、特にフリーランスの立場で仕事をする上で、大きな強みにもなる。また、お互いの顔が見えるFacebookだからこそ、たくさんの笑顔を閉じ込めた石黒さんの写真が、多くの人の共感や賛同を得たともいえるだろう。

 

プロフィール
石黒美穂子
高校卒業後OLからスタジオアシスタントを経て渡英、帰国後フリーランスに。女性誌を中心にインテリア、料理などのライフスタイル系をメインにポートレイトなど幅広く活躍中。撮影に加え、パンやインテリア、着物などの趣味を生かした企画制作も手がける。
http://mishiguro1964.blog.fc2.com/
http://www.cafeglobe.com/author/ishiguro_m/
https://www.facebook.com/mihoko.ishiguro.9

 

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撮影協力:「Palaka」 東京都渋谷区神宮前3-42-2 9月末まで営業