- 2018.06.05
生誕60周年記念 くまのパディントン™展
2018年5月11日(金)渡邉 理絵
― いろいろな顔、いろいろな思い出 ―
「どうぞこのくまのめんどうをみてやってください。おたのみします。」
そんなフレーズで駅にクマがいたらどうしますか?
イギリスのパディントン駅でブラウン一家に拾われた礼儀正しいくまのパディントン。ファンタジーの中にイギリスの日常が見られるパディントンのお話は今でも世界各国で愛されています。1958年にマイケル・ボンド氏によって世に送り出されて以降、40以上の言語に翻訳、出版されるとともに、絵本・アニメ・映画・キャラクタービジネスなど、様々なジャンルで人気があります。今回の展覧会はパディントン生誕60周年記念、また2017年6月に91歳で逝去されたボンド氏への追悼の意もこめてBunkamura ザ・ミュージアムで開催されています。
パディントンのお話には、いくつもの挿絵が存在することはご存知でしょうか。
どの絵に馴染みがあるかは人それぞれかもしれませんね。日本で翻訳されているものだけでも年代によって様々です。作家が描いたオリジナルの作品ではないイラストにもかかわらず、共通のキャラクターとして人々の心に刻まれているのはすごいことだと思います。
1958年出版の最初の児童書で挿絵を担当していたのはペギー・フォートナム。白黒の挿絵ですが、愛らしいパディントンの姿が描かれています。
左)ペギー・フォートナム画『くまのパディントン』の挿絵原画、1958年
Illustrated by Peggy Fortnum © Paddington and Company Ltd 2018
右)ペギー・フォートナム画「パディントン」シリーズの挿絵
Illustrated by Peggy Fortnum © Paddington and Company Ltd 2018
1972年に初めて絵本シリーズとして出版されたときに挿絵を担当していたのがフレッド・バンベリー。色彩豊かな表現でさらに魅力的なキャラクターへと変身していきますね。
フレッド・バンベリー画 絵本『パディントンのかいもの』の原画、1973年
Illustrated by Fred Banbery © Estate of Fred Banbery/HarperCollins 2018
1980年代に書かれた絵本では、「ぞうのエルマー」シリーズなどで有名なデイビット・マッキーが挿絵を担当しています。赤い長靴が印象的です。
デイビッド・マッキー画 絵本『パディントンとゆうえんち』の原画、1980年代
Illustrated by David Mckee © David Mckee/HarperCollins 2018
その他、ジョン・ロバンやR.W.アリー、アイバー・ウッド、バリー・メイシ―などの作家が挿絵を手掛けています。
R.W.アリー画 絵本『クマのパディントン』の原画、2007年
Illustrated by R.W. Alley Illustrations copyright © R.W. Alley 2018
キャラクタービジネスの世界では、アイバー・ウッドのデザインがよく知られています。赤い帽子をかぶり、青いダッフルコートを着てスーツケースを持った可愛らしい姿はぬいぐるみでも、文房具でも、雑貨でもついつい手にとってしまいます。原作では、「広いつばのついた、何とも奇妙な帽子」と描写があり、色が指定されていいないこともあり、挿絵では色々な帽子をかぶっているパディントンがいるんですよね。
左)アイバー・ウッド画 商品化のためのアイデア画、1970年代後半
Illustrated by Ivor Wood © Paddington and Company Ltd 2018
展示室では、こうした挿絵の原画や今まで発売されたグッズの他、作者マイケル・ボンドのインタビュー映像を見ることができました。戦争で疎開する子供たちが小さなスーツケースを持って札をつけられて電車の駅で疎開先の家族にもらわれていく姿に衝撃を受けてパディントンのストーリーにつながったと話していました。スーツケースの中にはきっと大事なものが詰まっているのだろうと想いを馳せるとパディントンが大切そうに抱えているスーツケースにも急にリアリティが出てきました。
マイケル・ボンド氏 © P&Co. Ltd. 2018
音声ガイドナビゲーターは、映画、ドラマ、舞台など幅広いジャンルで活躍する俳優・瀬戸康史さん。6歳の長男は自分で操作しながら回ることができるようになり、2歳の娘にかまっていてゆっくり聞けずにいた私より詳しいこともありました。子供の音声ガイドデビューにおすすめです。
2016年に公開された映画「パディントン」では着ぐるみのようなかわいいパディントンが見られました。暗黒の地ペルーから船に乗ってやってきたパディントンのイギリスでのドタバタと、受け入れたブラウン一家の変化が、ドラマティックに描かれています。今回、展示を見るにあたって、同行する子供たちとこの映画を見たおかげで、すっかり我が家ではパディントンが人気者になりました。マーマレードを食べたいと言い出したのもパディントンの影響です。展示室内でもパディントンのアニメを見ることができたので喜んでいました。最後にミュージアムショップで映画パディントンのストーリーに沿ってシール貼りを楽しめる本を気に入り買って帰りました。もちろん、原作の児童書や絵本なども置いてあります。ミュージアムショップではたくさんのオリジナルの商品のほか、ウィリアム・モリスのデザインの雑貨や、不思議の国のアリス、ピーターラビットなど、イギリスにまつわるグッズが集まっていたのもイギリスファンとしては嬉しかったです。今回の展覧会の図録もオススメです。展示作品の他、児童書のストーリーや、出版にまつわる話など盛りだくさんです。何と言っても「Please look after this BEAR. THANK YOU.」と書かれた、パディントンが首にかけていた荷札を模したしおりが挟まっていたのには大感激してしまいました。
展示室内で撮影はできませんが、フォトスポットが用意されているので是非記念に。
イギリスのパディントン駅が再現してあり懐かしかったです。
招待券をプレゼント!
本コラムの読者の皆さまに感謝を込めて、抽選で5組10名様に「生誕60周年記念 くまのパディントン™展」の招待券をプレゼントします。メールフォームの件名を「パディントン」として、「お名前」「メールアドレス」、内容欄に「送付先の郵便番号・住所」を明記のうえ、ご応募ください。
応募締切:2018年6月10日(日)
ご応募はこちらから!
Illustrated by Peggy Fortnum © Paddington and Company Ltd 2018
生誕60周年記念 くまのパディントン™展
会 期:2018年4月28日(土)〜6月25日(月)
休館日:6月5日(火)
時 間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会 場:Bunkamura ザ・ミュージアム
入場料:一般1,400円/大・高校生900円/中・小学生600円/親子券1,500円
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_paddington/
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