2018.03.28

桜花賞展

第6回 郷さくら美術館 桜花賞展
 

2018年3月9日(金)渡邉 理絵
 

─ 終わらない桜の季節 ─
 

いよいよ桜が咲き始めました。目黒川の桜は満開になると川に桜の橋を架けたような本当に美しい姿を見せてくれます。そんな目黒川のほど近く、中目黒駅から歩いて行ける距離に、現代日本画を専門とする郷(さと)さくら美術館があります。桜のデザインが建物全体に散りばめられていてモダンな建物です。福島に建てられた美術館の分館となり、会津を興した蒲生氏郷(がもううじさと)から「郷」の字をとっています。また日本画には故郷を思い出すものが多いことから「故郷」の意味も重ねたそうです。
 


 

入り口を入ってすぐの一階に、常設展「桜百景展 vol.13」があります。こちらは展示替えをしながら一年中満開の桜が見られるコーナーになっています。今回ご紹介する桜花賞展の審査員でもある中島千波の《櫻雲の目黒川》(2013)は屏風に描かれた大きな作品で、花の美しさと隙間からわずかに見える目黒川の景色に、視覚を圧倒する迫力がとてもよく表わされています。
 

 

昨年ご紹介した近代美術館の「MOMATコレクション」で見た菊池芳文(きくちほうぶん)の《小雨ふる吉野》を思い出しながら、同じ屏風の作品でも作家の時代と描かれた場所が違うと印象がかなり違い、目黒川のほとりの、また現代日本画を専門とする郷さくら美術館でのこの出会いに嬉しくなりました。
 

 

2階と3階が今回ご紹介する「第6回 郷さくら美術館 桜花賞展」となっています。開館1周年を記念して第1回が開催されてから毎年開催されています。賞金を設けたコンペティション形式で、推薦による応募者が1年前にエントリーして作品制作に入ります。こうして応募された作品を全て美術館が収蔵・展示し、若手の育成と日本画の魅力を後世へ伝えていくことを目的としています。常設展では過去の受賞作品も展示されることがあり、そのいくつかを見ることができました。
 

さて、今回の大賞をご紹介しましょう。
鹿間麻衣の《巡》(2017)です。
今まで見たことないようなピンクと赤の彩り鮮やかな作品で、展示室内でも目を引きます。景色の奥行きがよく表わされていて、桜の咲いて華やかな姿、散りゆく風流な様子、落ちて重なる見事な色合い、様々な桜の魅力を多面的に表現していました。
 


 

優秀賞は本多 翔の《戸ノ内の大木》(2017)。
桜の木の幹の表現にとてもインパクトがあり一番印象に残った作品です。
下から見上げたアングルで桜の大きさが感じられ、手前の桜の細かさと、後ろの桜のぼかし方で、奥行きの深さも感じられました。
 


 

館長賞は安井彩子の《あの日の夢》(2017)。
柔らかな桜のイメージが美しい作品です。タイトルのように夢心地の気分にさせてくれ、まるで妖精でも出てきそうな淡い綺麗な世界観です。
 

 

その他、奨励賞が4名、総勢29名の日本画作品が展示されています。
また、描かれた桜の所在地を表わした地図がありとても興味深く見ました。
美術館にゆかりがあり、また素晴らしい有名な桜の木が多いということから、福島県の桜が多いものの、題材となった桜の木は日本全国に広がっていて、桜は本当に国を代表する植物だと感じました。
 

“さくら”の花ように日本の人々、そして海外の人々にこの美術館が親しまれ、愛され大きく充実することを願って想いを館名に託したという由来の通り、郷さくら美術館は2006年福島・郡山に、2012年に東京・中目黒に、2017年にアメリカ・ニューヨークにと、活動の幅を広げてきました。美術館の持つ素晴らしい資源、日本画の安らぎとその魅力が、桜のようにこれからも多くの人々に伝わり広がりますように。

※福島の郡山館は長期休館中。

 


 

ショップにはポストカードやお菓子など一年中さくらグッズが置いてあるので、海外からの旅行者に人気だそうです。私のおすすめは、「さくらのこんぺいとう」(250円)。イチゴ味の金平糖でかわいい桜のパッケージです。ショップだけなら入館料がかかりません。またすぐにでも訪れたいお気に入りの場所になりました。

 
 

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招待券をプレゼント!
本コラムの読者の皆さまに感謝を込めて、抽選で5組10名様に「第6回 郷さくら美術館 桜花賞展」の招待券をプレゼントします。メールフォームの件名を「桜花賞」として、「お名前」「メールアドレス」、内容欄に「送付先の郵便番号・住所」を明記のうえ、ご応募ください。
応募締切:2018年4月6日(金)
ご応募はこちらから!

 
 


 

第6回 郷さくら美術館 桜花賞展
会 期:2018年3月3日(土)~5月27日(日)
休館日:月曜日(但し3/26、4/2、4/30は開館、5/1は休館)
時 間:10:00~18:00※入館は30分前まで
会 場:郷さくら美術館(東京都目黒区上目黒1-7-13)
入場料:一般:500円、シニア(70歳以上):400円、大学生・高校生:300円
中学生:100円、小学生:無料(保護者の同伴が必要です)
http://www.satosakura.jp/tokyo/