- 2017.06.20
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛
サンシャイン水族館 特別展「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展2)」
5月23日(火)橋詰 康子
東京に出てくるまでは、ゲームセンターも無ければもちろんスターバックスコーヒーも無い、言ってしまえばあたり一面が田んぼで囲まれている“ザ・田舎”で生活していた。なので、女の子が悲鳴を上げるような虫や蛇、蜘蛛などの対処はお手の物であるし、別段驚きもしないと自負している。
しかしそんな私でも、サンシャイン水族館で開催されている「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展2)」では思わず息をのむ瞬間が多々あった。2014年夏に第1回目が催され、2回目となる今回は展示生物を一新しパワーアップしたという「もうどく展2」。種々様々な毒をもつ生物たちがここで来場者を待ち構えていたのだ。
まず入口の毒々しさに目が行くが、意を決してゲート内に入ると怪しげな音楽が流れる最初のゾーン「魔女の毒薬調合室〜防御するための毒をもつ生物〜」が待ち受けている。3つあるゾーンのうち、魔女の調合室を再現したというこちらでは、今にも魔女が大きな窯をかき混ぜているような不気味な雰囲気が漂っていた。
ちなみにこちらの「もうどく展2」では、生物が持つ毒レベルを5段階に評価し、生物ごとに毒の特徴や症状について説明書きがされている。例えば毒レベル1であれば痛みなどの弱い症状が出るだけらしいが、毒レベル5となれば人間の死亡例があるような強い毒を指しているそうだ。
「魔女の毒薬調合室」で最初に迎えてくれたのが、エイの仲間であるポルカドット・スティングレイだった。エイと言えば平べったくて顔がユニークな印象を持っていたが、彼らは病院で処置を受けないと重篤になるという毒レベル4の毒をもった危険な生物らしい。言われてみれば確かに、その黒と白の水玉模様という体表は「いかにも毒を持ってます!」という意思表示のようにも見える。
他にも毒々しいカエルやムカデなどを横目に見ながら、次のゾーン「マッドサイエンティストの研究室〜毒を利活用する生物〜」に向かった。こちらは既に使われなくなったマッドサイエンティストの研究室をイメージしたというゾーンで、主に毒を利用して生活する生物たちを展示しているのだとか。実際にこちらのゾーンでは、顔が特徴的な“ゴマモンガラ”や“ネコザメ”のほか、毒をもつ生物としておなじみのクラゲもお目見えしている。しかしこういった毒を持っていると言われるとすんなり納得できるような生物とは一線を画すような子もいた。
それが“ミツユビハコガメ”という亀の一種だ。こちらは陸生の亀の中では唯一毒を持つ種類の子であるそうだが、自ら毒を持っているのではなく、毒キノコを食べることで体内に毒を蓄積するという特性を持っているらしい。ちなみに食中毒などの症例が少ないため、毒レベルは不明なのだとか。見た目は他の亀と全く遜色はないどころか、むしろ比較的丸っこくて可愛らしい子だったのでかなり衝撃的だった。
「マッドサイエンティストの研究室」には、臭~い刺激臭を分泌することでも有名なシマスカンクもいる。この日はあいにく小さな小屋の中で眠っていたが、展示スペースの隣には噂の刺激臭を嗅ぐことができるスペースも用意されていた。こちらは香りのプロフェッショナルである匹田愛さんが実際にシマスカンクの分泌液を嗅ぎ、再現したという刺激臭なのだとか。ボタンを押すとプシューっと刺激臭が出てくる仕組みとなっていたので、私も嗅いでみたが・・・確かに何とも言えない匂いだった。なんでも人によって感じる臭さも異なるらしいのだが、とりあえず何かの機会でスカンクと遭遇した際には、鼻をつまみながら逃げることをおすすめしたい。
シマスカンクを横目に見ながら足を進めると、最後のゾーンである「レッドゾーン〜死亡例のある生物〜」がお目見えする。死亡例がある生物を展示しているソーンである「レッドゾーン」では、真っ赤な内装がレッドサインのように生物たちを取り巻いていた。
もうどく蛇の剥製やアカエイ、コモンフグなどが見守るなか、いかにも悪そうな顔でこちらを見ている生物がいた。ニヤリと悪い笑みを浮かべているその正体は、“ドクウツボ”だ。攻撃を受けると人を襲ってくることもあるという荒っぽい性格のドクウツボは、内臓と筋肉に大量の毒を抱え込んでいるらしい。一番人間に似た顔をしているようにも思えたので、不気味さが群を抜いて際立っていた。
毒を持っている生物は、そのそれぞれで毒性も毒の活かし方も異なるらしい。主に外敵から身を守るためが多いようだが、自然界で生きていくには毒をもっていた方が有利に働くことも多々あるのかもしれない。人の世界でも、嫌なことを言うことは「毒を吐く」という表現がされ非難の的となることがあるが、それも自分の身を守るために致し方なくているケースもあるのだろうか。そう考えると、「毒=怖いもの」というイメージが薄れていくようにも思えた。
普段あまり接することがない毒を持つ生物たちとの逢瀬が楽しめる「もうどく展2」、動物園や水族館とはまた一味違うスリルな体験もできること間違いなしだ。
ちなみにサンシャイン水族館に併設されている「カナロア カフェ」では、「もうどく展2」とのコラボケーキが全3種販売されている。怖いもの見たさで今回は“チョウセンスズガエルケーキ”をいただくことにした。外見は見た通りの毒々しさだが、中身はメロン味のクリームやホワイトチョコレートの濃厚な風味を楽しむことができる何とも美味しいケーキでした。6月25日までの限定商品であるようだが、チャレンジ精神旺盛の方はぜひ一度お試しあれ。
サンシャイン水族館 特別展「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展2)」
開催期間:2017年3月16日(木)~2017年9月3日(日)※6月26日(火)〜30日(金)は休催
時間:10:00~20:00、7月12日(火)〜:10:00〜21:00 ※最終入場は終了30分前 ※変更になる場合があります
入場料:600円(もうどく展2のみの場合)
会場:サンシャインシティ ワールドインポートマートビル屋上(水族館特別展会場) 東京都豊島区東池袋三丁目1番
公式サイト:http://www.sunshinecity.co.jp/
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