2017.05.16

エリック・カール展 The Art of Eric Carle

2017年4月21日(金)佐藤愛美

 
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桜が見頃を終え、新緑の季節がやってきた。
広大な緑地が広がる世田谷区の砧公園。樹林の道を進んでいくと、木々の間に白い壁の美術館が現れた。現在、世田谷美術館では「エリック・カール展 The Art of Eric Carle」が開催され、約160点もの原画や作品が展示されている。今回は、4月22日の開幕に先立ち報道内覧会にお邪魔してきた。

 
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鮮やかな色彩の絵は一度見たら忘れられない。アメリカを代表する絵本作家エリック・カール氏は、『はらぺこあおむし』の作者として日本でもよく知られている。小さなたまごから小さなあおむしが生まれ、果物やお菓子をたくさん食べながら蝶になる物語は、子どもから大人まで年代を問わずに人を惹きつける不思議な魅力がある。

 
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『はらぺこあおむし』は私にとっても馴染み深い絵本だ。以前、保育士をしていた時に子どもたちに何度も読み聞かせをした思い出がある。りんごやオレンジの絵に穴が空いているので、指をあおむしに見立てて「むしゃむしゃ」と食べながらページを進めていくのだ。見ても触れても楽しむことができ、楽しみ方は読み手の数だけ存在する。

 

1_『はらぺこあおむし』

 

実はこの『はらぺこあおむし』、製本のきっかけはアメリカではなく日本だったと知り驚いた。
当時のアメリカでは穴をあけたり頁幅を変えたりする造本は、子ども向けの出版物として採算が取れないと考えられていたそうだ。出版のきっかけとなったのは、エリック・カール氏の絵本を長年手掛けてきた編集者のアン・ベネデュースが日本の出版社を訪れたこと。日本の出版社と相談した結果、初版本が日本で印刷、製本され、1969年にアメリカで世に出たというわけだ。以来、エリック・カールにとって、日本は特別な国となったという。

 
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この日はエリック・カール氏本人が世田谷美術館に来訪し、貴重なコメントを聞くことができた。

 

「こんなに大規模な展覧会は始めてです。予想以上に素晴らしい出来だ!ここには初期の作品から最近の作品まで展示されています」

 

会場の展示を見回し、ご本人も嬉しそうな表情。あおむしのマークがついたキャップを被り、取材陣にも笑顔で手を振ってくれた。作品の雰囲気通り、とてもチャーミングな方だった。日本が大好き!というのが、柔らかい笑顔からも伝わってきた。

 
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会場内には数多くの作品が飾られ、彼が作り上げた世界の中に、まるで絵本の登場人物として入り込んでしまったような感覚に陥る。一度見たら忘れられない色彩の動物たち。ダイナミックに描かれた太陽やお月様。あたたかい家族の絵。
絵の前に立ってみると、不思議なパワーをもらっているような気分だ。カラフルな色使いや、躍動感のあるキャラクターがそうさせるのだろうか。
また、エリック・カール氏が数多く描いてきた虫や動物、植物や海など自然界の命の姿からは、込められた「生の力強さ」が原画越しに伝わってくる。

 

数々の作品に圧倒されながら進んでいくと、作品づくりに使用された絵筆が展示されていた。何色もの絵の具がついた筆は、エリック・カール氏の軌跡を象徴しているかのようだ。あおむしや蝶に命を吹き込んだ筆を目の前にして、思わず立ち止まり、じっと眺めてしまった。

 
2_『はらぺこあおむし』
 
 

会場を後にする時、もう1度、映像を見てエリック・カール氏の言葉に気づいた。

 
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最後にズシンと頭に響くような言葉に出会ってしまった。
なぜ『はらぺこあおむし』は希望の物語だったのか?
なぜエリック・カールはそのことに気づくのに、長い年月を要したのか?

 

美術館を後にして、公園の緑の道を歩きながら、彼の言葉を頭の中で反芻していた。もう一度、あの絵本を開いてみようと思う。

 
 
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応募締切:2017年5月28日(日)
ご応募はこちらから!
 
 

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エリック・カール展
会 期:2017年4月22日(土)~2017年7月2日(日)
    10~18時(入場は17時30分まで)
休館日:毎週月曜日
会 場:世田谷美術館
    〒157-0075 世田谷区砧公園1-2
電 話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般1,200円/65歳以上1,000円/大高生800円/中小生500円
主 催:世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)、エリック・カール絵本美術館、読売新聞社
http://ericcarle2017-18.com/