2017.03.08

LOVE展

2017年2月14日(火)渡邉 理絵

 

― 届ける愛、満たされる心 ―

 

目白駅と高田馬場駅の間に位置する「切手の博物館」。
子供の頃から通学中に山手線の車窓から眺めていて気になっていたその博物館に、初めて訪れました。昨年20周年を迎えたその博物館とは20年越しの片思いの人と再会したような気分です。現在開催中の企画展はその名も「LOVE展」です。

 
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中に入る前から、色々な発見で楽しませてくれる施設です。漫画家・楳図かずおの人気キャラ「まことちゃん」をデザインした「まことちゃんポスト」は、開館20周年を記念し、手紙文化に触れあう機会を勧めていく目的で設置されたそうです。そしてかわいらしい消印、手紙を運ぶ鳥、郵便屋さんのオブジェは、銅板工芸作家・赤川政由さんの作品です。入口にある珍しい竹林も目を引きます。

 
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訪れたのは「バレンタインデー」で女性入館無料の日でした。他にも毎月23日の「ふみの日」は入館無料です。この日は「LOVE展」のスペシャル企画として、かわいい記念の小型印(イラスト入り消印)を押してもらえるサービスも。52円切手を貼ってあれば押してもらえ、その場での投函も持ち帰りも可能。せっかくなので珍しく夫に手紙を書いてみました。メールやLINEで連絡はしていても手紙なんて何年も書いていませんから、ちょっと驚くかも、と思いながら。

 
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記念の小型印は人気でたくさんの人が訪れていました。中には大量の葉書を持ち込んでいる留学生と思われる外国人の方も。母国の両親や友人にお手紙でしょうか。絵葉書の写真やデザインにも現地らしい特徴が出ますが、切手や消印にこだわって出すのも素敵ですね。なんだか心が温まりました。自分も留学中や旅行中に家族に絵葉書を出したことを思い出し、自分の代わりに手紙が海を越えて旅をして愛を届けてくれる「郵便」は、やはり受け取る側が嬉しいだけではなく、出す側の心も満たしてくれるんだなぁと思いました。この夫への手紙は海は越えず、超えたのは神田川ぐらいですが、かわいいイラスト入り消印をもらえただけで自分の心が満たされました。今回の小型印は2月10.11.14日の限定だったのですが毎年バレンタインデーの頃にやっているようなので来年も要チェックです。その他の企画展でも小型印を押してもらえることがあるそうです。

 
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さて、夫宛の葉書の裏面は、実は下の写真のように「切手はり絵」と呼ばれる手法を使って自分で作った手作りの葉書なのです。この「切手はり絵」、大人も思っていた以上に面白いです。
毎月第3日曜日に「切手はり絵」の体験ができるのですが、その日以外にもちょっと気軽に体験したいという人のために「ちょっとだけ!『体験!切手はり絵』コーナー」もあります。

 
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企画展を見る前に、まずこの「切手はり絵」に挑戦しました。
綺麗に色分けされた古切手をはさみで自由にカットして、下書きされた絵に合わせてのりで貼っていきます。輪郭からはみ出ないように、細かくカットしたものを重ねていくのがコツです。今回はすでに下書きされていたチューリップの絵を使ったのですが、自分で下書きから描くこともできます。展示されている子供たちの作品は下書きも上手で、貼り方や色も工夫されていて驚きました。

 
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4歳の上の子も挑戦。ぬりえやおえかきや工作は大好きなのですが、古切手を切って貼る細かい作業はまだちょっと難しかったみたいです。でも自分でイルカの下絵と青い古切手を選んで頑張って切り貼りしていました。それでも本人なりに楽しかったらしく「もっとお兄さんになったらまたやりたい」だそうです。

 

切手はり絵体験や小型印を満喫してから、企画展のほうへ。
今回は約100ヵ国(地域を含む)の800点余りの切手が展示されています。
切手は小さい上、版画の仲間なので、保護のため照明が暗くなっていて、受付で「ペンライト」の貸し出しもしています。

 

今回のメインは各国の『愛を伝えるグリーティング切手』です。「LOVE」や「ハート」をモチーフにしたものなど様々なデザインの切手を見ることができます。また、国別になっているので、その国らしさを感じることができます。

 
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こちらはアメリカ。お花の「LOVE」もかわいらしいデザインですし、NYの有名なパブリックアート「LOVE」(ロバート・インディアナ)をモチーフにした切手も印象的です。日本でも新宿アイランドタワー前にありますが、世界各国に設置されています。アメリカもNYだけではなく、一番初めに設置されたインディアナポリスや、フィラデルフィア、スコッツデールなどにもあり、アメリカらしいデザインです。

 
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こちらはポーランド。大好きな幸運の四葉のクローバーの一枚の葉をハートに見立てるデザインを見つけて嬉しくなりました。ダイヤモンドカットのハートも綺麗ですね。

 
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こちらはオランダ(左)とイギリス(中・右)。
赤ちゃんを運ぶコウノトリやウサギの親子がかわいらしいですね。イギリスはピーターラビットや不思議の国のアリス、ティディベア、スノーマンなどイギリス出身の作家のキャラクターをモチーフにした切手もありました。

 

『芸術は恋愛だ』と題した名画や映画などを題材にした興味深いコーナーもありました。

 
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これは有名な「接吻」(グスタフ・クリムト)をモチーフにした切手。実物は180cm×180cmと大きく、男女の全身が描かれているのですが、左の切手のように顔の部分がトリミングされているデザインもよくグッズなどに使われています。「接吻」の様々なパターンの切手があった他、「誕生日」(マルク・シャガール)をモチーフにした切手もありました。バレエ「白鳥の湖」や、映画「風と共に去りぬ」、漫画「ベルサイユのばら」(池田理代子)、小説「伊豆の踊子」(川端康成)など、様々なものを題材にしていて、じっくり楽しめます。

 
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他にも愛をテーマに様々な切り口で集められたコーナーがありました。星座にまつわる『愛を星座にのせて』や、『愛を届ける郵便屋さん』と題した切手のコーナー、ディズニーのキャラクターや様々なハートのデザインを集めた『ハートがいっぱい』など。『愛される花嫁』では各国の花嫁の切手を世界地図に散りばめた展示、『切手の国名表示』ではクイズ形式で切手の国名を当てる展示など、多彩で世界中の愛に溢れた企画でした。

 
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『幸せな家族』と題した世界のロイヤルファミリーや幸せな家族を描いた切手を集めたコーナーも。そこには、日本の皇太子殿下と雅子妃を始め、見覚えのあるウィリアム王子とキャサリン妃の結婚記念切手もありました。

 
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イギリスでは記念切手だけではなく、公共交通機関用ID「オイスターカード」からお土産の雑貨まで、オフィシャルなものからそうではないものまで、お二人の写真はいたるところで使われていましたが、こうして切手になると一般にも流通し、博物館にも保存収集されるので、本当に良い記念になるな、と記念切手の価値を再確認しました。記念切手は古ければ古いほど価値が高まるそうで、コレクターの人の気持ちが少しわかった気がします。

 

ショップではコレクション用のファイルや、現在郵便局では発売していない以前の切手や、外国の切手を購入することができます。そこで、軽井沢のペイネ美術館で見て以来気になっているフランスの「ペイネのバレンタインデー」という切手が売られているのを見つけ、もう一度気になっている片思いの人に再会できたような気分になりました。切手の博物館限定の「アラビックヤマトmini(20ml)」も注目です。これを片手にかわいい切手を貼ってまた誰かにお手紙を書きたくなりました。

 
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LOVE展A4プレスリリース
 

LOVE展
会 期:2017年1月5日(木)~3月30日(木)
休館日:月曜日(祝日の場合も)
時 間:10:30~17:00
会 場:切手の博物館1階 企画展示室 豊島区目白1-4-23
入場料:大人200円・小中学生100円・障害者無料
    毎月23日は「ふみの日」で無料
http://www.yushu.or.jp/museum/kikaku/index.html