- 2017.01.24
蜷川実花×クラゲ
2017年1月6日(金)渡邉 理絵
― 五感で楽しむクラゲ体験 ―
東京スカイツリータウンにある、すみだ水族館で、写真家・映画監督の蜷川実花とクラゲのコラボレーション企画展が開催されています。まだ新年の賑わいの気配の残るソラマチを通り抜け、スカイツリーを見上げながら、すみだ水族館へ足を運びました。訪れるのは3回目となるのですが、未だに迷ってしまうのは、ソラマチのショッピング街で目移りしてしまうからでしょうか。目指すはウエストヤードの4階です。4階から専用のエスカレーターやエレベーターで5階に向かうと、すみだ水族館の入口が待っています。
クラゲの展示と蜷川実花の写真とのコラボレーションは昨年に引き続き2回目とのことで、こうしていつもの常設展がちょっと模様替えしている企画展というのはいいですね。頭の中でイメージしながらも、予測できない部分に期待を膨らませて、初めてのような気持ちで訪れることができました。
入口を入り順路の6階に上がると、最初に「自然水景」というゾーンの綺麗な水槽が目に入ります。アクアデザインアマノによる「ネイチャーアクアリウム」という手法で、水草の出す酸素を魚が呼吸して二酸化炭素にし、水草が再び光合成するという自然の姿そのものを水槽に凝縮しています。背景が空のように輝き、水草の森に、魚が自由に飛んでいるようにも見えます。今回はクラゲがお目当てなので、ちょっと早足で進みましたが、いつもはじっくりとカメラを向けて時間がいつのまにか経ってしまう、とても明るくて美しい水槽です。
そして、さっそく次のクラゲ展示ゾーンへ。
常設展示では、ブルーの背景に白く透明なクラゲが泳いでいて幻想的な雰囲気なのですが、今回の蜷川実花の色鮮やかな花の写真を背景に泳ぐ大型クラゲ水槽のミズクラゲやアカクラゲを見て、こんなにも印象が変わるのかとびっくりしました。照明を落とした暗めの展示室が、まるで前とは違う部屋に入ったかと思うような華やかな世界になっていました。色鮮やかな花は、一定時間で次の写真に変わる映像作品になっており、一瞬一瞬を見逃せません。ふわふわ泳ぐ姿が癒しになる優しい雰囲気を醸し出すクラゲも、こうしたビビットカラーが背景になると陽気に泳いでいるように見えるのが不思議です。
8個のU字型水槽でも、それぞれ色鮮やかな花の写真が背景となっています。まるで一つ一つの水槽がそれぞれのクラゲの家で、背景の写真が家の壁紙のように感じられました。クラゲにとっては、居心地は変わらないのかもしれませんが、見る側にとっては、まさに部屋の模様替えのように気分が変わって楽しいものです。
様々な種類のクラゲが約600匹展示されているこのクラゲゾーンですが、ほとんどこのゾーンにある「アクアラボ」で生まれ育ったクラゲだそうです。「アクアラボ」では、飼育スタッフがクラゲの飼育作業をする様子や、専門的な飼育設備を間近で見ることができます。ガラス越しではなく直接飼育スタッフに話しかけられるのも魅力の一つです。一緒に行った子供は「あのオレンジのジュースは何?」とさっそく質問していました。ちなみに、その正体はクラゲの餌のプランクトンの入った液体でした。小さい水槽の場合はクラゲ一匹ずつにスポイトであげることもあるそうです。
その次には、サンゴ礁や、砂から垂直に顔を出している姿がかわいらしいチンアナゴのいる、360度どの角度からも楽しめる水槽が並んでいます。つきあたると、左右にスロープがあり、5階の展示室へ下りられるようになっています。左側のスロープはオットセイやペンギンの水槽を見ることができますが、今回はお目当ての右側のスロープへ。そこが、「クラゲ万華鏡トンネル」の入口です。
- 昼のクラゲ万華鏡トンネル
- 夜のクラゲ万華鏡トンネル
ライトと鏡の演出で、なんとも煌びやかな幻想的なゾーンです。
色鮮やかな花の写真が特大映像パネルになっていて、鏡に反射して万華鏡のようになっています。トンネルの入口にも、全身の影絵で遊べるほど大きく映像が映し出されており、蜷川実花の写真そのものを体感することができます。トンネル全体では8個の水槽があり、ミズクラゲやブルージェリーフィッシュなど約370匹のクラゲが展示されています。昼と夜では映像や光が変わるとのこと。両方見たい場合は18時半前後に行くのがいいかもしれません。
トンネル内はゆったりとしたヒーリング・ミュージックのようなものが流れていて、その中で写真が切り替わったり、ライトが動いたり、一定ではない演出に癒されます。そして驚いたのは、まるで写真の花がにわかに香りだしたかのように花の香りが漂ってきたことです。アロマを使って匂いの演出まであるとは、予想を上回るものでした。
5階の「ペンギンカフェ」では、特別メニュー「ふわふわクラゲソーダ」が販売されています。なんとこちらも昼と夜とで色が変わるとか。クラゲに見立てたふわふわの綿あめがソーダの上に乗っているのが特徴ですが、本物の食用クラゲを乗せた「クラゲソフト」もありました。同じ「ペンギンカフェ」で売っている「ペンギンコットンキャンディ」は、大人気の光る綿あめ。中にチカチカと光る棒が入っていて、初めて見たときはびっくり!カフェでも色々と驚かせてもらいました。
同じフロアの、「すみだステージ」では、「クラゲうつし」というクラゲの形を工作して映す体験プログラムができるようになっていました(1月9日で終了)。1月10日からは「アクアアカデミー」で「クラゲコースター」の作成ができるようになっています。自宅でクラゲが卵から成長する様子を見守る「みるみる!クラゲライフ」や、瓶に入ったクラゲを観察する「ふわふわクラゲ」など大人向けの体験プログラムもあります。
他にも、金魚が美しく展示された「江戸リウム」や、6階から覗いて見えた沢山の魚やサメの泳ぐ「東京大水槽」やペンギンを、間近に見ることができます。「東京大水槽」を覗ける通路の丸窓や、オットセイを下から覗けるトンネルにも注目です。今回はお正月ということもあり、アカイセエビの展示もありました。すでに展示が終了してしまいましたが、来年もお正月には見られるかもしれません。1月28日~31日までは夫婦仲の良いペンギンと愛妻の日をかけたイベントも用意されていて、1月28日~3月14日のバレンタインデーとホワイトデーの時期にはチョコレートやキャンディーをイメージしたカラージェリーフィッシュも見られるようです。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感すべてを楽しませてくれる「蜷川実花×クラゲ」の企画展示は水族館というよりはまるで美術館に行ったような気分を味わわせてくれました。ショップには特設コーナーもあり、オリジナルのポストカードなどが売っています。
鑑賞するだけではない体験させてくれる場があり飽きさせない企画展もある、周りにソラマチのショッピング街が広がる魅力的なすみだ水族館。これからもきっと通い続けてしまうと思います。2回以上行けば元が取れる年間パスポートは、ソラマチでの割引もあってお勧めです。この企画展期間中なら、蜷川実花デザインの年間パスポートを選ぶことができますよ。
蜷川実花×クラゲ
会 期:2016年11月8日(火)~2017年3月14日(火)
休館日:なし(年中無休)※2月16日(木)は臨時休業
時 間:9:00~21:00 ※受付は閉館の1時間前まで
主 催:すみだ水族館(運営会社:オリックス不動産株式会社)
所在地:墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F
入館料:大人2,050円・高校生1,500円・中小学生1,000円・幼児(3歳以上)600円
http://www.sumida-aquarium.com/news/2016/10/03news_ninagawa.html
※記事中の体験プログラムの期間・事前申込等の詳細については、オフィシャルホームページにてご確認、もしくは03-5619-1821(9:00~21:00)までお問い合わせください。
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