2015.11.04

近藤康平 個展『flowing』

「静謐で青い童話の世界へ」

 

2015年10月28日(水) 佐藤愛美

 
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新宿駅から京王線各駅停車に揺られて6分ほど。降り立ったのは代田橋駅です。駅の周辺は昔ながらの商店に囲まれ、昼間からビールを飲むお父さんの姿も…。
そんな商店街を少し進み、住宅街に入ったところに突然現れたのが今回の目的地カフェギャラリーCHUBBYです。

 
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まずオシャレな外観にびっくり!!ナチュラルで広い空間とワイングラスがたくさん並んだバーカウンター。昼間はカフェですが、夜はバーになるみたいですよ。
現在こちらで開催されているのが近藤康平さんの個展『flowing』です。

 
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flowing――「流れる」という展示のタイトル通り、水の流れ、空気の流れ、音の流れを感じさせるような近藤さんの絵。今回飾られているのは新作70点以上。とてもボリュームのある個展です。
水彩画かと思いきや、アクリル絵の具を使い水を多めに含ませることでこの独特のタッチが生まれるのだそうです。また、水だけでなく洗濯糊を絵の具に混ぜて色合いの変化を見せる、という手法もあるのだとか。

 
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もともと子ども向けの本の編集者をしていたという近藤さん。絵を始めたきっかけは、SNSで日記に添えてごく簡単なデジタル作品の絵を描いたことだったと話を聞かせてくださいました。完全に独学で絵を描き続け、都内だけでなく全国各地、台湾にも足を運び展示を行っているのだそうです。
絵本の編集者をしていた時に、子ども向けの科学実験の本を手掛けた経験があり「絵の具に洗濯糊を混ぜると良いカンジ」という発想も、当時の経験の賜物だとご本人は語ります。

 

近藤さんの絵には、キャンバス面積に対して小さく描かれた動物や人が登場します。キャンバスに顔をぐっと近づけてみると、ひとりひとり(いっぴきいっぴき)の動きに表情があるんです!
絵の中に小さく登場人物を置くという手法も近藤さんならではのもの。そうすることで「世界の広さを描けることができる」という話には、なるほど納得です。

 
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1枚の絵の中には、それぞれに物語が込められています。絵本はページをめくっていくことで物語が進むけれど、近藤さんの作品は1枚の絵にぎゅっと物語が詰まっているのです。実際の制作では、物語を決めてから絵を描き始めるのではなく、描きながら色合いや登場人物を決めていくのだそうです。
「この絵はどんなお話なんですか?」と質問したところ、「物語はちゃんとあるんですけど…見る人の感性で自由に捉えてもらえたらなと思ってます」と笑顔で答えてくださいました。

 
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近藤さんの絵で特徴的なのが、作品によって様々な表情を見せる「青」です。関係者には「近藤ブルー」とも呼ばれているくらい、青は近藤さんの作品において象徴的な色のようです。同じ青でも濃さによって、または筆の置き方によって表情が変わってきますね。青空のように爽やかな青。深海のように底なしの青など。青だけでもこんなふうに世界観を広げていくことができるのですね……。ため息が出ます。

 
私が特に印象に残ったのが、こちらのピアノの絵のシリーズ。

 
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「1000年ピアノ」というロマンチックなタイトル。絵の中で静かに息をしているようなグランドピアノは、見る人によっては悲しく見えるかもしれないし、優しく見えるかもしれません。このピアノは1000年もの間、何を見てきたのかな……と作品の前で足を止めてじっくりと見入ってしまいました。

 
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天井から垂れ下がっている大きな絵。これは、布に描いているのですって!まるで和紙に描いたような独特な質感…。「紙や木製パネルも色も染みるのですが、特に布は繊維によって大きく絵の具の染み方、広がり方が違うから面白いんです」と近藤さん。光の差し込み方で見え方も変わってくるようで、夜になるとまた違った作品の魅力に気づくことができるかもしれません。

 

洋服へのペインティングも行っています。近藤さんの描く可愛らしい動物と柔らかい色合いが素敵です。現在、ギャラリーには秋〜冬に着ることができる洋服が展示されています。会期中は販売も行っています。一点一点、作者の深い思い入れがあることが伝わってきますね。世界にひとつだけの特別な一着になるはずです。

 
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実は、普段はライブペインティングの活動も精力的に行っている近藤さん。(写真はお借りしたライブの様子です)
アーティストの演奏に合わせて即興で世界観を作り上げていくのだそうです。「展示してある絵とは違い、出来上がっていく過程を見せられるところがライブペインティングの良さですね」とのこと。実際に描いている様子を、ぜひ見てみたくなりました。

 
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「これからも、とにかく絵を描き続けていきたい」という近藤さんの言葉に、描くことに対する実直な信念を感じました。美味しいコーヒー、あるいはお酒を飲みながらじっくりと絵を観賞してはいかがでしょう?近藤ブルーに囲まれ、心が洗われるような展示でした。

 
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○近藤康平 個展『flowing』○
期間:2015年10月28日(水)〜11月30日(月)12:00〜26:00
料金:入場無料(※飲食店です。)
会場:CHUBBY 東京都世田谷区大原2-27-9 <代田橋駅より徒歩2分>
定休日:火曜日
http://chubby.bz
※会期中の11月3日(火)は祝日のため通常営業します。翌日4日(水)はお休みです。

 

【Closing Event】
11月28日(土)18:00開場/19:00開演 1ドリンク付
料金:前売り……4,000円
   当 日……4,500円
出演:CANVAS BAND(木暮晋也&近藤康平)
   渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz/cafelon)

 

○今後の予定○

 

日程:12月19日(土)
場所:水戸ミネルバ
  茨城県水戸市宮町2丁目3−38 HOTEL水戸シルバーイン 2F
   tel:029-226-8688
出演:樽木栄一郎/宮川剛/近藤康平
時間:18:00開場/19:00/開演
料金:前売3000円/当日3500円(共に+1drinkオーダー)
予約&問い合わせ:tel:029-226-8688
         mail:mito_minerva@yahoo.co.jp

 

日程:2015年12月20日(日)
出演:CANVAS BAND(木暮晋也&近藤康平)
場所:高円寺メウノータ
   http://meunota.com/

 

タイトル:「ファンシーアンサンブル」
時間:17:00 OPEN/18:00 START
チケット:前売り¥3,000 当日¥3,500(共に1ドリンク別)
予約:メールにて mail@hicksville-web.com

 
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○近藤康平○
http://kondokohei.net/
ライブペインティングパフォーマー/絵描き
1975年生まれ
鳥取大学大学院連合農学研究科卒業、森林学を学ぶ。
ライブペインティング、服飾ブランド提供、書籍装丁、CDジャケット、舞台美術など様々な「絵」のジャンルで活動している。