2014.06.20

いのちの地球でフォトジャーナリストが伝えたこと

「地球」「ジャーナリズム」「東日本大震災」

 

2014年6月14日(土曜日)久しぶりの快晴!

 

 DAYS JAPAN10周年企画展の『いのちの地球でフォトジャーナリストが伝えたこと』を丸の内の3×3Labo(サンサンラボ)で見てきました。ビルの入口から中へ歩いて行くとインパクトのある、見覚えのある写真の数々が展示されていました。創刊時のスローガンの「1枚の写真が国家を動かすこともある」。このフレーズがとても胸に響きました。

 

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 考えてみると7年前から何度か『DAYS』を購入したことがありました。『DAYS』は世界中で様々な思いを抱える人たちの表情が全面表紙のフォトジャーナル誌です。写真展では「触れる地球ミュージアム」「第10回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞受賞作品展」「DAYS JAPANが伝えた10年」「世界のびっくりどうぶつ 最高に愉快な仲間たち」「広河隆一編集長引退記念写真展(DIGNITY=尊厳)」と大きな企画が5つ、その他の特別展示がいくつかありました。

 

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 昔、購入した雑誌の表紙が記憶に残っていたのは、それが目を疑いたくなるような現実だったからです。10歳ほどの少女が赤ん坊を抱えている写真。二人とも目が虚ろで少女は何かを欲するように斜め上を見ていて、赤ん坊は目を大きく開き遠くをぼうっと眺めている。いつお風呂に入ったのか分からないような不浄さや貧困な様子が強烈な記憶として残っています。展示の中に一連のバックナンバーの表紙を並べたものがあり、「あっ、これ買ったことある」と一瞬で区別がつきました。視覚は五感の中でも記憶として定着する割合が高いことが分かっていて、「視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1.0%」*だそうです。

 

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 中でも一番印象的だったのが恒成利幸さん(朝日新聞)の「東日本大震災」というタイトルの写真です。津波の被害を受け、壊れた家や積み重なるがれきの山を背に一人座り込み涙を流す女性の姿は、今でもそれが実際に起こった信じがたい事実だったことを思い知らされ、身震いが止まりません。どうなっているのか分からない、何からすべきか分からない、全てを失ってしまった女性のその表情にとても胸が締めつけられ、見ているのにも耐えられず目を背けたくなるほどでした。

 

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 展示を見ていると偶然にもすぐそばに編集長の広河隆一さんがおいでになり、プライベートでお孫さんとご一緒ということでしたが、ご厚意に甘えて少しお話を伺いました。その話の中で特に印象に残ったのは、次のようなことでした。

 

友華乃:「最近は3Dカメラという360°の映像を撮れるものが出てきています。
     私の知人で戦場での光景を多くの人にリアルに知ってもらうために、
     戦場での臨場感ある映像を撮って世に届けたいという人がいますが、
     それについてどう思われますか。」

 

広河さん:「戦場の様子を伝えたいという志は良いけれど、あれほど緊迫した戦地の中で映像を撮るのは
       厳しいでしょう。戦場は人が殺し合う場所なのだからね、それは無理だと思うよ。」

 

 死との隣り合わせで命がけで写真を撮ってきた広河さんの言葉は、どれもみなとても深く響きます。その言葉は、3Dカメラでよりリアルな映像に収めたいという高い志さえ理想で終わってしまうほど、戦場が厳しい場所なのだと教えてくれました。実際の戦場を経験してきた人にしか言えない一言だなと感じました。
 ジャーナリストが過酷な現場でシャッターを切るその一枚の写真が、人の心を揺さぶる力の大きさを肌で感じた今回の「友華乃ぶらりアート」でした。

 

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『いのちの地球でフォトジャーナリストが伝えたこと』 
DAYS JAPAN10周年企画
期間 :2014年6月2日(月)〜6月28日(土)
時間 :11:30 〜 19:30 (日曜休)
場所 :3×3 Labo内
     東京都千代田区丸の内3-2-3 富士ビル3F
電話 :03-3322-0233 (DAYS JAPAN)
料金 :無料
HP :http://www.daysjapan.net/event-info/event201403_2.html

 

広河隆一DAYS JAPAN編集長引退イベント
2014年6月28日(土)14:00〜18:00

 

広河隆一 Hirokawa Ryuichi

1943年中国天津市生まれ。早稲田大学卒業。
フォトジャーナリスト、ビデオジャーナリスト、DAYS JAPAN編集長。
「沖縄・球美の里」理事長、「チェルノブイリ子ども基金」創設代表、「パレスチナの子どもの里親運動」顧問。
著書に『新版パレスチナ』(岩波新書)『福島原発人々』(岩波新書)『新 人間の戦場』(デイズジャパン)など多数。
HP:http://www.hiropress.net/index.html

 

*参考文献
『記憶と情動の脳科学 – 「忘れにくい記憶」の作られ方』 ジェームズ・L・マッガウ著


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