2014.06.12

“Half-Drag” “Neo-Burlesque” by Leland Bobbé/Emilie Jouvet、Goodyn Green写真展

「ポルノ」「ジェンダー」「写真」

 

2014年6月5日(木曜日)ぽつぽつ雨
 NY出身の写真家のリーランド・ボブさん、フランス人フォトグラファー兼監督のエミリー・ジュヴェさんと、デンマーク人フォトグラファーのグディーン・グリーンさん、3人の写真展を見に銀座のヴァニラ画廊へ行ってきました。

 

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 今回の展示は、男性が女装した写真やショービジネスで活躍する人々、レズビアンたちの写真などセクシュアル・マイノリティ(ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスセクシュアル、トランスジェンダーなど)の人々をテーマとした写真展です。

 

 現在、世界では16の国(米国は10州、英国はウェールズのみ)で同性婚が認められています。2001年にオランダが世界で初めて同性結婚法を施行し、今年の3月には英国で法律が施行されました。一方、ロシアでは反対派が増加しています。日本はというと江戸時代前期に男色文化が盛んでした。現代においては、BL(男性同士の恋愛もの)市場は拡大しており、メディアでもニューハーフやおかまの人達がよく登場します。その反面、世間は同性愛について特に関心がなく、さほど批判的ではなくとも差別意識が未だあるように見えます。今後、世界各国でLGBT(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender)文化への理解が一般社会に広がるようになれば、日本にも浸透していくのではないでしょうか。海外のLGBTのアートシーンで活躍するアーティストたちが日本へ進出していくことによって、理解や認知が高まり今後広がりを見せて行きそうです。

 

 さて、展示のリーランド・ボブさんの作品は、有名なドラッグクイーンたちが顔の半分だけをメイクした写真です。ドラッグクイーンとは男性が女装をするパフォーマンスの一種。メイクされた女性の部分と素の男性の顔が、一枚の写真に成っていることでインパクトがとても大きいです。メイクの部分だけにフォーカスをして見ると、プロがメイクをしていることやもともとの目鼻立ちがとても綺麗なので、美しい女性だと認識して見惚れてしまう程です。左の女性の部分から目線を右側へ移すと、力強くたくましい男性の顔が現れ混乱を招きます。華麗な女性美が似た顔の洗練された男性らしいものに変化したようにも見えます。これが同じ人物なのか、と何度か見比べてしまいます。「女性らしさ」や「男性らしさ」を一つの写真にすることで、一般的な性別に対しての認識を批判しているように見えます。

 

 次に、ヨーロッパのクィアシーン*の代表ともいわれるジュヴェさんとグリーンさんの作品は、共に日常的なレズビアンたちの様子を写真に収めています。映画のワンシーンを切り出したようなジュヴェさんの作品は、女性たちが差別者の存在しないクラブで女性同士だけで、自由にいちゃついて遊戯している姿を写しています。日本では男女でさえもこれほど戯れる姿を目にしませんよね。笑い合ったり、相手の髪の毛を触って悲しみをなだめていたり、口づけや抱擁を人の目を気にしないでしている自由な光景を見たときに、世界がこのように自由で平等であれば争いも少なくなるのではないでしょうか。
 グリーンさんはストレートな女性たちのヌード写真を見ても満足をした経験がないことから、自身が「被写体のレズビアンたちの恋人」という設定で仮想ドキュメンタリーを撮っています。よく目にする普通の男性が撮影した恋人の裸の写真(女性像)からインスピレーションを受け、このドキュメンタリーのアイディアとなったそうです。裸の女性たちの写真を見ていくと、とても不思議な感情が湧き出てきます。雑誌やテレビ、映画などで目にする裸の女性たちとは違う、エロティックな表情を醸し出しているのです。男性が恋人である場合と女性が恋人である場合の女性が漂わせるフェロモンの違いに驚きを隠せません。グリーンさんやレズビアンは、この女性たちの姿にファンタジーを持つようですが、逆に男性がこの写真を見て興奮をするのか気になるところです。セクシャルマイノリティの世界は、まだまだ普段触れる機会の少ない非現実的な世界でもあります。この写真展を見てきたことで秘密のアイディアが思い浮かんだ、ムフフな今回の「友華乃ぶらりアート」でした。

 

burari_bobbe_P1020058『“Half-Drag” “Neo-Burlesque” 』 by Leland Bobbé
『Emilie Jouvet、Goodyn Green写真展』
期間:2014年6月2日~6月14日
時間:平日12:00~19:00/ 金曜12:00~20:00/
土曜・祝日12:00~17:00/ 日曜不定休
場所:ヴァニラ画廊
東京都中央区銀座八丁目10番7号
東成ビル地下2F
TEL: 03-5568-1233
料金:500円
HP:http://www.vanilla-gallery.com/archives/2014/20140602a.html

 
 
 

Leland Bobbé (リーランド・ボブ)

ニューヨーク出身。プロの写真家として30年以上にわたり活躍している。彼の作品は商業と芸術の両分野に及んでおり、全米のギャラリーで展示が行われるとともに、多くの広告にそのイメージが活用されている。

 

Emilie Jouvet (エミリー・ジュヴェ)

フランス出身。映画監督、フォトグラファー。ヨーロッパのクイア・シーンを15年以上にわたって深く探求。様々な形でその作品を発表、そのドキュメンタリーは多方面に幅広く評価されている。 2005年、「One Night Stand」というフランスのクイア、レズビアン、トランスジェンダーをフィーチャーした映画を制作。2009年、2作目の映画となる「Too Much Pussy! Feminist Sluts in the Queer X Show.」は、最も革新的な映画として“Belfort International Film Festival”にて優勝、そしてカナダでのBest Documentaryとして、Best LGBT映画としてCannes Independent Film Festivalでも受賞した。現在はパリとベルリンの間で幅広く活躍している。

 

Goodyn Green (グディーン・グリーン)

デンマーク出身。ベルリン在住のフォトグラファー。フェミニスト・クィア・アートマガジン「Bend Over」の写真家。最近ではゲイポルノをパロディにしたマスキュリンな女性のポートレート写真集「THE CATALOG」をリリース、大きな話題を集めている。

 

*クィアシーン
クィアとはセクシャルマイノリティを包括した言葉。ジュヴェさんとグリーンさんはセクシャルがレズビアンであり、アートの分野でマイイノリティの人たちを写し出した作品を多く制作しています。ヨーロッパで有名な二人で、映像や写真でレズビアンたちの場面を撮っている。

 

*参考
『The Freedom to Marry Internationally』
http://www.freedomtomarry.org/landscape/entry/c/international


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