- 2015.03.08
オードリー・ヘップバーン ─KOBALコレクションより
「白黒写真」「ありのまま」「美しさ」
2015年2月27日(金) written by 友華乃
写真展『オードリー・ヘップバーンKOBALコレクションより』を見に銀座の72GalleryとギャラリーA.W.Pへ行ってきました。2ケ所で同時開催の写真展ということで、どちらにも足を運んできました。72Galleryで27点。ギャラリーA.W.Pは異なる約30点を展示しています。
今回のキュレーターは、写真家でありプロデューサーのテラウチマサトさんです。写真の売れない日本で写真の販売を仕掛けるテラウチさんは、風景写真の販売から今回、肖像写真の販売に踏み切っています。数少ないセル・ギャラリーの72Galleryでは、ジョン・コバール(John Kobal)の映画スター写真のThe kobal Collectionからセレクト。ギャラリーA.W.Pでは、kobalコレクションの他にビルダーチブ・ピーター・W.エンゲルメイアー(Bildarchiv Peter W. Engelmeier)、イギリスの写真家セシル・ビートン(Cecil Beaton)、アメリカの写真家リチャード・アヴェドン(Richard Avedon)らのポートレートからセレクトして展示販売しています。
1993年1月20日、63歳、永眠。オードリー・ヘップバーンが亡くなって22年が経った。「永遠の妖精」と謳われ世界中から愛された女性。3回運命の出会いを果たした恋多き女性。美しさや仕事に対する情熱は、多くの名言や書物と共に世に伝えられています。イタリアのローマにある映画『ローマの休日』のスペイン階段には、観光客が後を立ちません。私も6年前にスペイン階段へ訪れたことがあるのですが、人々が思い思いに自分の時間を過ごしていて、ゆったりとした空気が流れるとても特別な光景でした。われ先にと階段を上り写真撮影をする人、階段に座ってジェラートを堪能する人、のんびりと旅の休憩にあてる人など、様々な人で賑やかであったことを記憶しています。他界後も人々の憧れの的であるオードリーが踏んだ土地は、人々に彼女の足跡を追いかけさせます。
はじめに足を運んだ72Galleryは、入口を入って右手に受付、左手に写真が飾られてた白が基調の空間です。さすがはオードリー・ヘップバーンの写真展。遠くからやってきたらしい親子、学校帰りの女子高校生、ご年配の男性など年齢層も広く様々なファンたちが鑑賞を楽しんでいました。こちらのギャラリーでは映画写真のコレクションからのポートレートが多く、カメラマンに向かってポーズを決めている姿ではありません。映画の中のオードリーの表情は、内面からの美しさが出ています。演技中の女優の顔というよりは、自分をそのままに表現したそれに、映画の女優として役割が充てられているという逆転の絵を見せてくれます。作品によって演じる女性の役割は違うはずなのに、オードリーの振る舞いやスタイルは変わりません。共演者の男性と写っている写真では、男性の方からオードリーに好意を寄せはじめた筈なのに、彼にうっとりして恋焦がれているオードリーの表情が見て取れます。
側にあったオードリーの顔がプリントされたブルーベリーキャンディを頬張って次の場所へと移動しました。
次に訪れたギャラリーA.W.Pは、写真家たちが撮った作品が飾られています。オードリーが頭のてっぺんから足の先まで全神経を集中させたようなポーズの写真です。日頃から女性の美しさについて徹底して洗練されているからでしょう。シャッターを切る瞬間だけではなく、普段からそういった振る舞いだったからこそ、神経を集中させたポーズに見えるのだろう思いました。最近では屈託のない笑顔を撮った写真や撮影のためにポーズをしたものをよく見かけますが、オードリーは、ありのままの自分で挑んで、それが芸術作品になっているのが作品を鑑賞して分かります。一枚一枚の写真がここまで人の内面を写し出すものだとは思いませんでした。オードリーの徹底した女優魂が写真を通して見られたことに感動を覚えました。写真家の腕にも左右されるものだとは思いますが、どれを見てもオードリー・ヘップバーンはオードリー・ヘップバーンで在って彼女そのものでしかないのです。強い女性でもなく弱い女性でもなく、唯一無二の一人の女性「オードリー・ヘップバーン」が写し出された写真の数々でした。
オードリーは言います。
“女性の美しさは、身にまとう服にあるのではなく、その容姿でもなく、髪をとくしぐさにあるのではありません。(The beauty of a woman is not in the clothes she wears, the figure that she carries, or the way she combs her hair.)”
オードリー・ヘップバーンに魅せられた女性がまた一人増えた日になりました。
オードリー・ヘップバーン ─KOBALコレクションより
期間:2014年2月4日~2015年3月29日
時間:水・木 12:00~20:00 (金・土・日~19:00)
最終日は17:00まで/毎週月・火曜日定休
場所:TOKYO INSTITUTE of PHOTOGRAPHY 72Gallery
東京都中央区京橋3-6-6 エクスアートビル1F
TEL: 03-5524-6994
料金:無料
HP:http://tip.or.jp/gallery/audrey_hepburn.html
関連記事
関連記事はありません