- 2015.01.30
安野谷 昌穂 個展「Flower Bed District」
2015年1月25日(日) *湊 るい*
こんにちは。安野谷昌穂さんの個展を観に、初の田端に舞い降りました。
閃光の中、街の中を歩いている。
生かす事も殺す事も僕の自由。
どれもこれも、鈍い音を出して立体交差している。
僕の寝床までも、それは続く。
街の中を歩いている。
(展示会情報ページより)
Flower Bed District。訳すと「花のある場所」
あれ?どこにお花が?と思いました?私も思いました。
いろいろな疑問を彼にぶつけてきたので、ちょっとずつ解明していきましょう。
―なぜ、作品のタイトルが「Flower Bed District」なのでしょう
もともと自然が好きな安野谷さん。東京に越して来て見てきた汚いものや、たまに浮き上がるネガティブな感情。そんな時、目の先にお花があったら嬉しいなという気持ちがあったという。
「人間でも同じ。いい人ばかりではない。疲れた時に、いい人が居たら癒される。人それぞれ好きなものがあり、嫌いなものがある。毎日、しんどくなったり、嬉しくなったりしている。そういった様々な感情から、花のある場所を作りたいと思った」
彼の癒しの象徴である「花のある場所」がタイトルになっているのですね。ちなみに、展示のレイアウトもそれをイメージしたそうです。
―作品にグラフ用紙を使うのはなぜですか
「単調な線には決まり、ルールがある。つまり、そういった私達の生活、人と人との関係の中で、自分を癒してくれる花のある場所を探している」ということからだそうです。
―作品を創る上でのこだわりは何でしょう
「純粋に、頭の中で感じたこと、自分のやりたい事をストレートに出すことが大事。カッコいい、ウケる作品を作ろうなどの欲望が出てしまうと、たいてい気に入らない。キャンバスを前に悩まず、どんどんトライして、無理なら無理でとりあえずやってみる事を大切にしてるんです」
その気持ちを安野谷さん風にまとめると、偉人の名言のような言葉になりました。
「公園に行って、滑り台で滑るか悩む前に滑りますよね?」
―絵の原点とは
「子供の頃、山や川で遊んでいる時の自由な感覚が、今も思い出にならずに続いている。その気持ちを引き続き大事に育てていきたい。自分が一番正直でいれる感覚。それは作品を作るのに大事で、それを絵の表現にも求めている。子供が描くような純粋な表現に、エネルギーを感じる」
そしてこう続きます。
「自分の中の宇宙。他人の中の宇宙。全てに、それぞれの世界があり、それぞれ違うものがある。だから生き物全てに興味がある」
絵に、人物や動物、自然が多く用いられているその理由がなぜだか分かった気がします。
―主な技法は何でしょう
「あの気持ちを表現するには何がいいのか、どの方法がしっくりくるのかを考えて選んでいる。表現する時はどんな形でもいい。マテリアルに、ゴミや拾ったものを使うこともある」
今回の作品も、コラージュ、ドローイング、スプレー等、様々な技法が使われています。
―作品のコンセプトはいつも決めているのですか
「視覚的な表現の魅力を伝える時に、言葉の存在が邪魔になる事がある。作品のコンセプトが入口になるのはいいが、それが答えになってしまうのは嫌だ。決めつけないことで、人それぞれ自由に感じてもらえる。そこから改めて、自分の作品を理解出来る。答えが一つしからなかったらさみしいし、いろんな答えがあっていいと思う」
―作品の感想で怖いと言われることもあるそうですが、どうしてなのでしょう
「絵の中には、ポジティブとネガティブが共存している。幸せにたどり着く道のりには、必ず悲しみや苦しみがある。どちらも必要な感情で、それがあるから、幸せを求めている。悲しい、怖い、苦しい。これがあったから絵が描けた。自分の心のどこかにあるものを引き出してくれる。怖いものを描こうとしている訳ではない。ポジティブを求め、happyな気持ちで書いている」
なるほど。見る角度によっては、ネガティブな面が目立ってしまうこともあるかもしれないですね。そして彼曰く、「悲しくなる作品より、嬉しくなる作品を作りたい」とのこと。
彼は幸せを求めると同時に、自分の作品を通じて誰かに幸せになってほしいと願っています。
もし今迷っていることがある方は、心を自由にして思うままに動いてみるとhappyになれるかもしれませんね。それでは、皆様の「花のある場所」も見つかりますように。
◇安野谷 昌穂(あのたにまさほ) 個展 「Flower Bed District」◇
期間:2015年1月17日(土)~2月1日(日)
時間:水木金 16:00-21:00/土日 12:00-19:00/月火休 (最終日18時まで)
場所:WISH LESS gallery/東京都北区田端5-12-10
URL:http://wish-less.com/
料金:無料
◇安野谷 昌穂/http://masahoanotani.blogspot.jp/
1991年兵庫県生まれ。現在は東京に拠点を置き、国内外で活動中。
*本個展の舞台となった「WISH LESS gallery」は、アート作品やファッション等の展示やイベントの他、日本のオリジナルブランド、輸入雑貨やアンティーク、古着等の販売を行うオシャレなスペースです。
http://wish-less.com/
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