- 2018.08.20
TRAVELER’S FACTORY中目黒
やすこな文房具 第九回
考え事をしていると通りすぎてしまいそうな、大通りから外れた小道の奥にある白塗りの建物。エメラルドグリーンの扉のそこが、トラベラーズノートでお馴染みのステーショナリーショップ、トラベラーズファクトリーだ。
もともとはお菓子の紙箱を作る工場で、臨時の倉庫として使っていた建物をリノベーションしたという店内は、どこか懐かしいのに今風の雰囲気もある不思議な空間が広がっている。階段や窓ガラスなどは昔のまま残しているそうだ。確かに階段などは登ってみると少し急になっていて、祖父母の家にいるかのような既視感を覚えた。だがお店全体を見ても、築60年位というなかなか年季の入った建物であるはずなのに、古臭さは全く感じない。
コアなファンも多いトラベラーズノート。文房具好きなら一度はその存在を目にしたことがあるはずだ。トラベラーズファクトリー中目黒には、そのトラベラーズノートをカスタマイズできるグッズや、実際に作業できる空間も用意されている。
例えば2階に誰でも自由に使用できるフリースペースがあるので、トラベラーズノートをカスタマイズしたり読書を楽しんだりすることができる。ちなみにここではミニライブなどを開催することもあるそうで、私が訪れた日は「ハービー・山口&山口大輝写真展の最中だった。買い物をしなくても利用OKなので、ゆっくりとした時間を過ごしたいという方にもオススメだ。階段を上がった先の屋根裏部屋のような空間はワクワクと安心感を与えてくれる。
トラベラーズファクトリーでは、トラベラーズノートをはじめ“旅するように毎日を過ごすための道具”を扱っている。トラベラーズノートと言うと旅行に行く人のためのノートと捉える方も多いかもしれないが、実はそうではないのだ。例えば旅行に行くと、いつもよりウキウキワクワクしたり、頑張ろうと思うことは誰にでもあるのではないだろうか。トラベラーズノートには、毎日をそういう旅する感覚で過ごしてほしいという思いが詰まっているそうだ。
店内を見渡すと、旅を感じさせるアイテムも多々目に留まる。例えば売り物ではないが、
飛行機の模型がいくつか吊るされていたり、自転車が置かれていたり・・・。自転車の方は東京バイクとのコラボレーションで生まれたもので、サドルやハンドルにトラベラーズノートと同じレザーを使用しているそうだ。また、トラベラーズファクトリーでは自転車つながりで「中目黒マップ」なども配布しており、周辺にあるおすすめレストランやショップなどの情報がわかるようになっている。
今回一番印象的だったのが、レジ横に置かれていた、お馴染みの赤い郵便ポストだ。外国からのお客さんも多いと言うトラベラーズファクトリーでは、ポストカードなどをお店から投函できるようポストを置いているのだそう。実際に2階のフリースペースでカードを書いて、そのまま郵送する人も多いらしい。見たもの、感じたことを記憶が新しいままで送るというのは、すごく素敵なことのように思える。今では携帯電話で気持ちを文字や絵文字にして伝えることができるようにはなったが、紙に肉筆で書いたものの方が、やはりその時の気持ちや感情を強く共有できるのではないだろうか。
シンプルなのに至る所で温かみが感じられるお店でした。
文:橋詰康子 / 写真:西原樹里
※店舗外観写真 © Designphil Inc.
TRAVELER’S FACTORY中目黒
東京都目黒区上目黒3-13-10
営業時間:12:00~20:00
定休日:火曜日
https://www.travelers-factory.com/