2017.10.20

中村文具店

やすこな文房具 第五回
 

 今、私の中には新しいものに惹かれる自分とレトロなものを懐かしむ自分が同居している。10歳の頃はとにかく新しいものが好きで、いわゆる“古臭い”ようなものは好みではなかった。唯一本の好みだけは例外だったが、普段身につけるようなものはすぐに新しいものが欲しくなったし、流行の波に抗うこともしなかった。しかしいつの間にか、気付いたらレトロなものに妙に心惹かれるようになっていたのだ。今では「昔ながら」の言葉に大層弱くなっている。ただ、いまだに「最新」という言葉にも弱い。
 

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 中央線の武蔵小金井駅から歩いて5分ほど、ボーっとしていたら通りすぎてしまいそうな路地を曲がると、今ではあまり見かけることがないような小さな古めかしい建物がある。正面の引き戸の横には懐かしい看板がかかっているここが、中村文具店だ。
 

 お店に入ると思わず目を見張ってしまう人も多いのではないだろうか。内装、陳列された商品たち、インテリア、その全てが“初めまして”のはずなのに、どこか懐かしさがあるのだ。
 

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 中村文具店は武蔵小金井で60年以上続く文房具店である。もともとは武蔵小金井駅の近くにお店を構えていたが、駅周辺の再開発による道路拡張で店舗の取り壊しを余儀なくされ、7年前に実家に移転、その後2年前に現在地でお店をオープンしたそうだ。
 

「駅前の店を閉める時、お店の倉庫から懐かしの古い文房具たちがたくさん出てきたんです。祖父の時から文房具店をやっていて、小さいころから文房具まみれだったので特に執着はなかったのですが、古い文房具たちを見て面白いなと思って。古い文房具たちを並べられる小さなお店を作ろうと思い立ちました」
 

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 今の中村文具店は、3代目である中村さんが1年半かけて内装・外装ともにじっくりとリノベーションして出来上がったものだそう。お店を一から作り上げる楽しさもあったと中村さんは話してくれました。
 

「最初は古い文房具だけを扱っていたのですが、『今の商品はないんですか?』と聞かれることも多々ありました。自分のセレクトで商品を選んでいるので、現在は流行っているものや「いいな」と思ったものも少しはあるのですが、やはりどこでも買えるような文房具は置かないようにしています。古い文房具に目移りしてしまって、結局何も買わずにお帰りになるお客さんも多いですね」
 

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 中村文具店に一歩足を踏み入れると、まるでタイムスリップしたかのようなたまらない懐古感に包まれる。実際にこれまでお店に足を運んだ人のほとんどがレトロな文房具たちに強く心惹かれたことだろう。しかしこの何とも言えない懐古感の正体はレトロな文房具だけでなく、どこか懐かしく温かい中村さんの雰囲気も相まっているのかもしれない。
 

 懐かしくもあり、逆にどこか新鮮味あふれるお店でした。
 

文:橋詰康子 / 写真:西原樹里

 
 

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中村文具店
〒184-0012東京都小金井市中町4-13-17
営業時間:12:00〜20:00
定休日:月〜金曜日
http://nakamura-bungu.com/
 

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やすこが選んだプレゼント!
 

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中村文具店で橋詰康子が選んだ文房具を抽選で1名にプレゼントします。今回はセーラー万年筆「キャンディ」のサインペン4色セット、製薬会社のノベルティの鉛筆3種、ぞう地球ノート(現在の文運堂)2種、KUM SOMBREROの鉛筆削りをセレクト。さらに懐かしのペリカン消しゴムをセットにした計8点となります。
 

応募要領
メールフォームの件名を「中村文具店」として、「お名前」、「メールアドレス」、内容欄に「送付先の郵便番号・住所」を明記のうえ、ご応募ください。
応募締切:2017年10月31日(火)
ご応募はこちらから!

※賞品の色味は撮影条件等により実物と異なりますが、橋詰康子が選び中村さんのご厚意も含まれた物に相違ありません。