2014.11.19

ニューヨーク・ブルックリンの秋、追憶としての2014年11月

〜第0回 世界中のクリエイターの「約束の地」〜

 

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ニューヨークを愛したジョン・レノンは、1970年1月27日の朝にあるメロディーが浮かんだ。その日の昼には詩をつけて、夜にはもうメンバーを集めて録音した。そしてその音源をプレスに廻し、2月6日には「インスタントカーマ」というシングル・レコードとして発売している。

 
 

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制作からリリースまでわずか10日。これは当時の常識からすると考えられないほどの早業だ。ジョンはきっと、この曲は鮮度が大事だと考え一刻も早くリスナーに届けたかったのだろう。

 
 

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この記事がアップされるのは、11月19日だが、僕はJFKから成田へ向かうデルタ航空172便のボーイング777、シートナンバー50Cでこれを書いている。現在の時間は日本時間で14日午前11時20分、米国東部時間(ニューヨーク)は13 日午後9時20分だ。

 
 

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ある種の情報やアートは鮮度が命ではないかとずっと漠然と考えていた。

 

「今、そこにある空気感というものを、一日も早く伝えたい」。
 

雑誌にはそれが難しいし、旅行者がブラリと訪れたところで、核心には近づけないだろう。

 
 

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今回、僕は心強いコーディネーターを得て2014年11月7日から13日までのニューヨーク・ブルックリンのクリエイターやアート・シーンの一部を、空気感ごと切り取れたと考えている。それらを12月第1週から3週連続でコンパクトに掲載していく。

 
 

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ニューヨークのアート情報といえば、猫も杓子もマンハッタンに関するものばかりだ。メトロポリタン美術館、MOMA、グッゲンハイム、ニューヨーク近代美術館など、もちろん世界屈指のアートスポットであることは間違いない。でも、それは他の媒体に任せておけばいい。

 
 

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本当のことを言えば、ニューヨークにはあまり興味がなかった。お気に入りの街に旅する時はいつもパッキングから楽しみで出発前日には終わらせるのに、今回は直前までしなかった。

 
 

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ホテルだって、普段ならせいぜい最初の二泊だけ予約しておいて、あとは気ままに現地で手配するのが習慣なのにすべて同じ宿にした。でも今、滞在を終えてこの街が世界中の人々を惹き付ける理由が少しだけわかった気がする。

 
 

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ここには、東京にも、パリにも、台北にも、ロンドンにもない、「自由」がある。
自分の可能性の翼を信じさせてくれる「自由」があるのだ。

 
 

ヘンテコだって、変わっているとかイカレテルと言われたって、全然大丈夫だということを自然にわからせてくれる街なのだ。ニューヨーク・ブルックリンという場所は。

 
 

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来週から3回にわたって、2014年11月初旬から中旬の時点でのブルックリンのウィリアムズバーグ、ブッシュウィック、そしてダンボという3つのエリアのクリエイティブやアートの「ヒト・コト」を、写真と共に紹介していく。

 
 

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ウィリアムズバーグは、マーケットやイベントスペースが多く、ニューヨーク中のクリエイターたちの出会いの場であり、作品を時には自らの手で売る場所となっている。

 
 

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ブッシュウィックは、ダンボやウィリアムズバーグの知名度と比例して、高騰する家賃に嫌気がさしたり、経済的な余裕のない若手のアーティストがどんどん暮らし始めている街だ。

 
 

そんな街やニューヨークという都市の魅力について、ブッシュウィック在住の日本人アーティストへのインタビューをする機会を得た。楽しみにしていて欲しい。

 
 

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ダンボは、今やブルックリンで、いやニューヨークで一番ホットなエリアだ。実際、僕が滞在中に行われた第一回「New York Festival Of Light」は開催3日目にして観客が殺到し、安全上の理由からプログラム半ばで中止となってしまった。日本では、まだそれほどメジャーではないが、最早ここは、観光地と化している。

 
 
 
ニューヨーク・ブルックリン、ここは、世界中のクリエイターの「約束の地」だった。

 
 

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写真は上から順番に

 

*キースヘリングによる壁画(Bushwick)
*Grocery Storeの外壁のペインティング(Bushwick)
*New York Festival of Light (NYFOL) の一コマ(Dumbo)
*35 Kent Avenueのスナップ(Williamsburg)
*倉庫の壁のオブジェ(Williamsburg)
*ホステルの食堂の壁画(Bushwick)
*art&craftの店・Mociun店内から通りをみる(Williamsburg)
*Morgan AV 駅前の壁画(Bushwick)
*倉庫に描かれたニューヨーク市の警察船(Williamsburg)
*Brooklyn bridgeをManhattanに渡るクルマの渋滞
*路面に描かれたシックな作品(Williamsburg)
*アーティスト・森泉氏のフォトセッション(Bushwick)
*Dumbo地区より、Manhattan Bridgeを臨む
*Williamsburg地区の交差点の夕暮れ

 

取材・撮影・執筆 久保田 雄城
NYコーディネーター 野口 智美