2016.06.23

縦組の王子と横組の王子

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 先日、配信した「ぶらりアート」では、「星の王子さまミュージアム」を佐藤愛美さんが取材、記事にしてくれたので、書籍について少し触れておきたいと思う。

 

 『星の王子さま』を読んだことのある人なら、もしかするとタイトルに付けた「縦組」「横組」がなんであるのか察しがついている人がいるかもしれない。

 
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 数多くの言語訳されている『星の王子さま』は、日本ではかつて翻訳権を有していた岩波書店の内藤濯氏の翻訳版が、自分の世代では小学校の図書室にも置かれていたなじみの深い版だ。以降、2005年に翻訳出版権が消失。その年を境に新訳が多く出版されているのは、そんな背景がある。タイトルの頭に「新訳」と付いていたりするのもそんな理由だ。岩波書店の「オリジナル版」もかつては入っていなかったと思う。

 

 さて、タイトルもしかり、判型もそれぞれに異なる『星の王子さま』から、オリジナル版と宝島社の『新訳 星の王子さま』を比べてみた。オリジナル版は昔からの蔵書。宝島社版の訳者、倉橋由美子の『大人のための残酷童話』などは好きで、前々から読んでみたいと思っていたこともある。

 

 オリジナル版は、新書サイズのハードカバーで、一般的な単行本のサイズでも文庫サイズでもない。そこからして、もう特別な感じだ。そしてなによりも、本文が縦組だといういこと。
 多くの小説が縦組であるのに、この『星の王子さま』は横組なのだ。しかも、読点は「、」ではなく「,」コンマが使われていて、もうそれだけで、異国の知らない物語が書かれているような、なにか特別な本なんじゃないかと子ども心に感じたのを今でも覚えている。

 
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 日本の文字は元来縦に書かれて変遷を遂げてきた文字だからとか、目は左右に配置されているから縦の動きは肉体的な負担が軽く疲れにくいだとか、デザインを学ぶようになってから知ることとなったが、まぁ、そのあたりは諸説様々あるようなので置いておこう。これまで『星の王子さま』を読んだことがない人なら新訳が読みやすくお勧めするが、読み比べてみるというのもまたよさそうだ。

 

文・写真:西東十一
 
 


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