2015.12.11

綴られた時間 第十一回古書店編 東京・国立 銀杏書房

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東京・国立 銀杏書房 文・写真 久保田雄城

「八十日間世界一周」ジュール・ベルヌ 1884年版(明治15年)

 
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国立。僕が最初にここに降り立ったのは、1980年の夏ぐらいだったと思う。当時は、RCサクセションがブレイクした頃で、確かこのあたりに忌野清志郎が住んでるとか、住んでたとか、一緒にロック喫茶に行ったそばかすだらけの女の子が、その店で興奮しながら話していたのを覚えている。店の名前は忘れてしまったが、場所は覚えている。今のスターバックスがある辺りだ。 

 

その頃は、なんだか一橋大学のキャンパス、それと紀ノ国屋しかなかった気がする。そういえば、その年に引退した山口百恵は、結婚してこの街に移り住んだという。横須賀と国立、随分と印象の違う街へ、彼女は引越ししたものだ。

 
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僕が今日、この街に数十年ぶりに降り立ったのは、銀杏書房に行くためだ。この書店は1947年創業というので、あのゆるやかで懐かしい1980年には、すでにその場所にあったはずだ。でも紀ノ国屋の隣なんだけれど、僕には思い出せない。

 

「八十日間世界一周」という美しい本がある。このタイトルでピンと来た人は、映画マニアかもしれないし、映画音楽ファンかもしれない。有名な作品なのだ。でも実は、映画や音楽に負けないほど原作も、そして本の体裁そのものも素晴らしいのだ。

 

僕の姪っ子は、日本人と英国人のミックスで生まれてこのかたロンドンに住んでいる。そんなわけで日本語より英語が堪能だ。彼女へのクリスマスプレゼントは、「八十日間世界一周」の古書と今年は決めたのが、これがなかなか見つからない。そんな時「国立の銀杏書房なら、きっとあるはずだよ」と教えてくれたのは、友人の写真家だ。

 
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それで、こうして国立までやって来たのだが、残念ながら見つけることができなかった。
仕方がないので、かつてのロック喫茶があったスターバックスにでも行って、窓際の席に陣取って、アップルミュージックから「トランジスターラジオ」をピックアップして、聞きながら1980年の夏にひととき、還っていこう。

 

そこでは、そばかすだらけの女の子が待っていてくれるかもしれないからね。

 

銀杏書房
住所:〒101-0051東京都国立市中1-16-37
電話::042-572-1091
営業時間 10時~18時 (土曜日:12時~18時)
定休日 日曜日・祝祭日


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