2015.10.16

綴られた時間 第七回 西荻窪 中野書店(古本倶楽部)

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東京・西荻窪 中野書店(古本倶楽部) 文・写真 久保田雄城

 

「音幻論」幸田露伴 1947年(昭和22年)

 

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先日、西荻窪へ出かけた。最近はちょっとした所用で高円寺や吉祥寺に出かけていったりすることが多いのだけれど、西荻窪へ行くのは数年ぶりだった。

 

出かけていったのは、探していたビングオーグレンダールのフィギュリンをインターネットで見つけたからだ。陶磁器のアンティークも今やオンラインで入手できる便利な時代だが僕の場合、実際見て触ってみないとその価値がわからないので、その在庫を確認して実店舗にやってきたのだ。

 

ビングオーグレンダールは、1853年にマイヤーヘルマンとヤコブヘルマン兄弟がポーセリンアーティストであるフレデリックヴィルヘルムグレンダールと共に設立した陶磁器メーカーだ。

 

イヤープレートが有名で、1895年に初めて発表されている。これは世界最古の歴史を持っている。だが1987年にロイヤルコペンハーゲンに買収され現在はその傘下となっている。

 

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そのアンティークショップは思いの外駅から遠かった。北口からの一本道、舗道の両脇には、木々が生い茂り高円寺や吉祥寺とは、まるで違う風情が僕の心を落ち着かせてくれた。

 

10分以上歩いて、僕はようやくそのアンティークショップにたどり着く。キャッシャーで僕の名前を告げて、奥の部屋から二体のフィギュリンを出してもらう。赤ちゃんを沐浴させている小さな女の子と、誰かに叱られたのだろうか、うなだれて指をくわえている男の子の二人だ。

 

彼らを見た瞬間、僕は彼らを家に連れて帰ることを決めた。
そして従業員は、これ以上ないというくらいに彼らを優しく包んでくれた。

 

「10月は黄昏の国」と書いたのはレイ・ブラッドベリだったけれど、
僕の10月は彼ら二人との暮らしが始まる美しい時だ。

 

行きがけには気がつかなったけれど、ふと駅へ戻る道「岩波文庫¥10~」というステッカーが壁に貼られているのに気づく。そのコンクリート打ちっ放しのオフィスのようなビルの開かれたドアに誘われるままに入る。そこには図書館のように書架が並び、その脇にはこじんまりした事務所があった。

 

書架を眺めていると「音幻論」という背表紙が真っ先に僕の目に飛び込んできた。『オト・マボロシ・ロン』なんだろう、どんな本だろう。

 

僕の好奇心にまた火がついた。

 

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中野書店(古本倶楽部)
住所:〒167-0042 東京都杉並区西荻北5丁目9-12 そらの下
電話:03-3395-2940
営業時間 10時半~18時半
営業日 土曜日のみ(火から金曜日はTEL・FAX・メールのみ・10時~18時)


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